メディ女インタビュー

【CheRish(チェリッシュ)】競争より協力を。大人女子を楽しむライフスタイルWebマガジン

突然ですが、あなたは「やらないといけない」仕事にあふれていますか?それとも「やりたい」仕事をしていますか?どちらが幸福度が高いかは言うまでもありません。今回は、「自分がやりたいこと、いいと思ったことだけだけ発信している」というライフスタイルWebマガジン「CheRish」編集長の小路桃子(しょうじももこ)さんにお話を伺いました。

2018年04月13日更新

滝下 明子

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チェリッシュを一人で運営する小路さんとは?

ー早速ですが、チェリッシュの立ち上げ経緯から教えていただけますか?

小路「チェリッシュを立ち上げる前までは、GMOインターネットのグループ会社で働いていました。いろいろなことがあり退職したのですが、会社を辞める時、実を言うと「COOKPADで働きたい」と思っていたんです。もともと料理が好きでしたし、母(※)がレシピ本を出版していたこともあり、ライフスタイルに関することに興味がありました。

(※)小路さんのお母様は数々の書籍も出版する「スーパー主婦」として有名な足立洋子(あだちひろこ)さん。

退職するときに、お世話になっていた方から「小路さん、会社辞めてこのあと何をするんですか?」と聞かれたんです。

「具体的には考えてないんですけれど、自分でメディアを立ちあげるのも面白いと思っているんです」と答えたら、その方も独立されたばかりでメディア作りたいと思ってらっしゃって、「じゃあぼくと一緒にやってみませんか?」とお声がけいただのがきっかけでチェリッシュを立ち上げました。

”自分でメディアを作れたらいいなぁ”と、なんとなく思ってはいましたが、本気でそう思っていたかと言うとそういうわけではなかったんです。お声がけいただかなかったらチェリッシュは存在していなかったかもしれませんね(笑)。

当時も今も、チェリッシュは基本は私一人で運営しています。個人で運営していますから、正直マネタイズすることは簡単ではありません。GMO時代はマネタイズのことを言われることは多かったです。企業ですから当たり前のことではあるんですが、疑問に思うこともとても多かったんです。ユーザーファーストと言いながらも「読者が知りたいことってこういうことなのかな……」と矛盾を感じることもありました。なので、自分が媒体を立ち上げる時は、まずはマネタイズよりも、読者目線になって運営しようと決めていました。

ただ、運営していくためには資金も必要です。どうしてもチェリッシュを続けたい!と思ったので、だったら本当にしたいこと(=チェリッシュのこと)ができる働き方をしようと思いました。」

ー最初から以外なお話になり少し驚いています。普通なら、そこでなんとかフリーランスとしてサイト運営していくことを考えるようにも思いますが、「チェリッシュのことができる働き方」というのが選択肢にあがったんですね。

小路「はい。ただ、そんな時に母の仕事が忙しくなって、当時は撮影のために一か月に北海道を二往復とかするような生活を送っていました。「貧乏暇なしってこういうことなのか!」と思いました(笑)

すごく忙しかったんですけれど、そんな中でも「モノを作る」というのはやっぱり楽しいと思いました。チェリッシュの運営にはGMO時代に繋がりのあった方たちも力を貸してくれたので、きちんとと取り組もう!と改めて思いました。

まだチェリッシュだけでは運営資金を賄えないのなら、他の仕事で収入を作らなくてはと考えていた時に、「私、GMO時代すごい忙しかったよな……」とふと思い出しました。朝10時に出社して終電で帰る、もしくは終電でも帰れない、そんな生活をしていました。今また同じような働き方を選んでしまったら、せっかく立ち上げた自分の媒体の運営ができなくなると。

そこで、派遣社員として働くことを選びました。私は、GMOの前は新卒から10年ほど鹿島建設で仕事をしていたんですが、ちょうど鹿島建設の関連会社で派遣社員を探していて、そこで働けることになりました。ブランクはありましたが、何年も務めた会社ですし古巣に帰ってきた感じですんなりまた馴染むことができました。朝8時半から夕方17時15分が基本稼働だったので、それ以外の時間は自由に使えるのが魅力的でした。

職場は居心地が良く、いい方たちばかりで3年半ほど働いていたんですが、その間にチェリッシュが少しずつ大きくなりはじめていました。これから先の働き方を考えていた時に、GMO時代にお世話になった方から、とある雑誌のWeb編集者を探しているという相談をされ、「それなら私が!」と引き受けることにしました。本当に節目節目で色々なご縁があるんです。」

正社員として働きながらチェリッシュの運営を行う日々

―チェリッシュが大きくなりはじめているところで新しい仕事を始めることにためらいはなかったですか?

小路「実は派遣を続けながらフリーで手伝ってもらっても良いと言われたんです。でも、派遣社員として働きながらチェリッシュを運営して、さらにフリーでというのは流石に厳しいと伝えたところ、「小路さんがよければ正社員として働かないか」とおっしゃっていただいたんです。更に「社員として働きながらチェリッシュの仕事もしていいよ。ただ、その代わり他の社員よりお給料少し下げさせて欲しい」という契約を提示してもらえ、ありがたくそうさせていただくことにしたんです。女性向けの媒体なので、例えばコスメの発表会や取材などチェリッシュでも発信したいことが同時にできるのも魅力の1つでした。

その話をいただいた翌日、派遣先へ引き継ぎできる方が見つかり次第、契約更新をしない旨を伝えました。いつもありがたい環境を与えられていることには感謝しています。」

ーチェリッシュを運営しながら紙媒体の会社で働くことにしたんですね。でも、Webと紙では色々やり方が違うんではないでしょうか。

小路「母の仕事を手伝っていた時、出版社の人と関わることが多かったんですが、そこで紙媒体の仕事の仕方をきちんと経験したいなと思っていました。今までWebの編集はずっとしていましたが、紙は未経験でしたから。紙からWebに移る方は沢山いますが、逆はあまりないですよね。紙媒体がどうやって作られるかをきちんと知りたかったんです。

大きく違う点としては、紙媒体は細かいラフをきちんと切って製作にある程度の時間をかけるところでしょうか。Webはそこまで緻密にはやらなくて、どちらかというと、すぐに発信できることばかり重要視されていますよね。そこにも元々違和感があったので、チェリッシュを立ち上げた当初から雑誌みたいなWeb媒体を作りたいという想いがありました。

紙媒体がやっているように、丁寧に時間をかけて作る方が理想に近いなと思っていたんです。」

小路さんの一日を教えて!

  • 10時 出社
  •  正社員として仕事。

  • 13時頃 お昼
  •  お弁当を持参することが多いです。

  • 午後
  •  一日2時間はチェリッシュのことをしていいということになっているので、取材などもこの時間に対応します。

  • 21時 退社
  •  定時は19時ですが、これくらいの時間までは仕事をしています。そもそも仕事が好きなので全然苦にはならないんですけど、ライフスタイルマガジンを提供する者として、気を付けようと最近すごく思うようになりました。なので、目標は19時退社です!

    ※日曜は意識的に仕事をしない(パソコンをいじらない)ようにしています。ただ、どこか出かけていいものがあればメモしますし、基本はずっとチェリッシュのことを考えてはいます。

    意外な事実!?小路さんの苦手なこととは?

    ーここまでお話を伺って、すごく器用に色々なことをやってらっしゃる印象を受けるのですが、苦手なことって何かありますか?

    小路「実は、文章を書くのが得意じゃないんです!企画やアイディアを出すのが好きなんです。イメージ先行型というか……なので、撮影も終えて、素材も揃えてあるのに文章を書くっていうところで止まってしまうんです。そして、止まっている間に他にアイディアが浮かぶとそっちに行ってしまう……みたいな。

    なので、ある時からチェリッシュのライティングの一部を学生時代の同級生でライターをしている菅原(すがわら)さんという方へお願いするようにしました。自分で書けたらいいなとは思うんですが、本当に苦手でお願いできるものはお願いするようにしています。もちろん自分でも書いているんですが、なんでこんなに時間がかかるんだろう……みたいな(笑)。」

    ー今後は他のライターさんにお願いすることも検討されていくんでしょうか。

    小路「今また会社員として「媒体を作る」という組織を見ていると、ゆくゆくは少人数制のチェリッシュ編集部を持ちたいなと思っています。私は色々な方に助けられて今があるので、今度はチェリッシュという場所を通じて誰かの手助けになれたらと思っています。ライティングに関しても、チェリッシュの世界観を一緒に伝えてくださる方がいればもちろんお願いしたいと思っています。

    あと、例えば「好きなことがあって、そのことで活躍したいんだけど、どうしたらいいのかわからない……」と思っている方にチェリッシュで連載を持ってもらうとか、人生が豊かになるきっかけを作れるような場所にしたいなとはすごく思っています。

    学生時代の私は劣等感のかたまりでした。でも、社会に出て仕事をするうちに「あれ?やろうと思ったら意外とできる!?」と思ったんです。それは色々な人に助けてもらったことも勿論ですけれど、恥ずかしがらずに「教えてください」と聞けば親切に教えてくれるということが分かったんです。今の時代はインターネットがあって個人が情報を発信できる時代なのに、「私なんか」と思っているのはすごくもったいないことだと思うんです。だからきっかけ作りのお手伝いができればいいなと思っています。

    なので、「チェリッシュで連載をしていたけれど、お仕事が増えて続けるのが難しくなったんです」という方は大歓迎です。もちろん寂しいですけど、チェリッシュがきっかけでお仕事が増えたというのは嬉しいことですし、何よりもその方がご活躍されるのは嬉しいです。」

    チェリッシュはどことも戦わないし比べない

    ーチェリッシュの運営で何か心がけていることは何かありますか?

    小路「以前は毎日ニュース記事を何本も上げていたんですけど、「あれ、私ってニュース配信をしたかったのかな?」と思ったんです。本当に読んで欲しい記事がニュース記事の中に埋もれてしまうのはもったいないなと思いました。そこでまず、平日の配信をやめました。伝えたいことがないのに無理やり配信するのも違うなと思ったんです。あとはニュースリリースは複数の媒体が配信しているので、それはチェリッシュで配信しなくてもどこかで目にするだろうな、と思うんです。ただ、もちろんチェリッシュとして紹介したいものは記事として配信しています。

    チェリッシュは今年の7月で5年目を迎えるんですが、夏くらいにリニューアルしようと準備しています。「チェリッシュにくるとこういうことがあるよね!」と確実に読者が思えるようなサイトにしたいと思っています。

    小路「今までは私が好きなものをどんどん配信していましたが、そこからもう一歩先を行って、読者が記事を読んで「やってみたい!」と思ってもらえるもの、普段の生活に活かせるものを配信していきたいです。私自身は好奇心旺盛でやりたいことはかたっぱしからやる性格なんですが、みんなそれをしていたらきっと疲れちゃいますよね。チェリッシュで配信しているものの中から好きなものや、暮らしの中に取り入れたいものを見つけれくれたらいいなと思っています。

    チェリッシュには「自分を大切にする」という意味が込められています。私は基本的にどことも戦うつもりがないんです。」

    ー「どことも戦うつもりがない」ですか。

    小路「女性向けの媒体って沢山ありますが、自分の媒体をどこかのサイトと比べる、ということをしたことがないです。個人的に好きなサイトは沢山あって、すごいなーとは思うし、私自身いろんな女性向けWeb媒体の一読者です。

    なんとなく今までの経験から戦っていいものってできるのかな?と思ってるんです。それよりも、協力して作った方が良いものができると思ってます。あくまでも私の経験上ですが、「今回はこういうものを作ってください」って決められてやったものより、クライアントさんと、「どうします?どうします?」と打ち合わせをして1つ1つ考えたものって、どんどんアイディアも出てくるし、その企画にかけてる時間って常にワクワクしてるんです。そうやって作り上げたものって読者にも響くんですよね。

    だから、理想はみんなで協力して1つのものを丁寧に作り上げる!全然、競争する必要はないのかな……と。」

    だれが見ても幸せになれるWebマガジンを目指して

    ーチェリッシュの温かい世界観は小路さんのそうした想いの結晶なんですね。

    小路「今は私の価値観や想像するものをわかってくれる方にしか、色々なことをお願いしていないので、そういう意味では、チェリッシュはちょっとめんどうな媒体かもしれないですね(笑)。自分があまり興味が持てないことは無理にやる必要はないかな……とも思っているので。

    私はPVほど当てにならないものはないと思っているところも正直あるんです。ただ、クライアントさんにとってPVはとても重要な指標の1つであることも重々わかっています。以前は、PVに関してはこだわりがなかったんですが、最近は考え方が少し変わってきて、PVが少ないということは伝えたいこと届けたいことが届いていないと。ただ、PV最優先の必要はないと思っているので、今後はバランスを見ながら運営していくことが課題です。」

    ー小路さん個人としてこれからやっていきたいことって何かありますか?

    小路「(…しばし悩んで…)

    例えば何か習い事をしたいと思った時「チェリッシュと繋がる!」とすぐに思ってしまうんです。常に何かを繋げるというのがもう習慣になっているんですよね。私、本当にやりたいことがボンボンボンボン出てくるんです。
    これは全然自慢とかではないんですけれど、私自身は何をやってもだいたい人並みにはできるんです。でも、「これが凄く得意!」みたいなのが自分にはなくて、要は器用貧乏なんです。だから、ずば抜けて何かができるという人に凄く憧れを感じるんです。そういう方にはぜひ活躍して欲しいな!ってそんなお手伝いをやっぱりしていきたいですね。

    あとは、今はどうしても取材の関係もあって関東圏の情報発信が多くなっているんですが、全国を網羅したようなWebサイトにしたいなと思っています。雑誌で「京都特集」なんかはありますが、”特集”でしかないじゃないですか。そうではなくて、どこの人が見ても疎外感がない情報を載せていきたいです。

    チェリッシュで「ハーブ・漢方生活はじめてみませんか」という連載を書いてくださっているCHIAKIさんは大阪在住で、実は一度もお会いしたことがないんです。いつもメールのやり取りなんですが、距離は問題にはならないんです。だからゆくゆくは日本全国の方がチェリッシュで活躍して欲しいですね。

    今はWebというどこにいても自分がやっていることを発信できるいいツールがありますから。

    チェリッシュを5年続けてきました。立ち上げた当初は全く考えてはいませんでしたが、やっぱりきちんとした形で独立をしたいと思っています。夢というよりは課題ですね。」

    いつもの暮らしにちょっとスパイスを

    次々にWebメディアがリリースされ、同時になくなっていく今の時代。どうしても指針となるものをと、PVなどの数的根拠を求めがちです。しかし、そもそもその情報は誰に向けて発信しているのか。それを受け取って読者は幸せになるのか。

    一つ質問させていただくと次々に話を膨らませながら終始笑顔で取材に応じてくださった小路さん。そんなお人柄がチェリッシュには出ていると感じました。

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